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この記事を書いているのは、当相談室所属のカウンセラーです。
職場の人間関係に悩む方のお話を数多くお聞きするなかで、攻撃的な人への対処に苦しんでいるケースは非常に多く見られます。その経験をもとに、心理的な背景から実践的な対処法まで、わかりやすくお伝えします。
「職場に攻撃的な人がいて、毎日びくびくしながら出社している」
「どう接すればいいのかわからず、ストレスが限界に近い」
この記事では、そんなお悩みを解決します。
攻撃的な人への正しい理解と対処法を身につけることで、職場でのストレスが軽くなり、毎日を少しずつ楽に過ごせるようになります。一人で抱え込まず、まずはこの記事を読んでみてください。
職場には、言葉がきつい人、高圧的な態度をとる人、理不尽に怒鳴りつける人など、さまざまなタイプの人がいます。そのような人たちを総称して「攻撃的な人」と呼ぶことがありますが、そもそも攻撃的な人とはどのような人を指すのでしょうか。まずは定義と特徴を整理します。
攻撃的な人とは、相手の気持ちや立場を尊重せず、自分の感情や意見を一方的に押しつける言動を繰り返す人のことです。その言動パターンは大きく3つに分けられます。
これらの言動が繰り返されることで、周囲の人は萎縮し、職場全体の雰囲気が悪化していきます。
「攻撃的な人」と「怒りやすい人・短気な人」は混同されがちですが、明確な違いがあります。
怒りやすい人や短気な人は、感情が爆発することはあっても、時間が経てば冷静さを取り戻し、
後悔や反省をすることが多いです。一時的な感情の波であることがほとんどです。
一方、攻撃的な人は「自分は悪くない」という意識が強く、慢性的に他人を責めたり攻撃したりする態度が続きます。反省よりも正当化を優先するため、問題が解決しにくいのが特徴です。
この違いを理解しておくことで相手の行動が一時的なものか、より深刻な問題かを見極め易くなります。

攻撃的な人の言動には「主張型」と「受身型」の2つのパターンがあります。
主張型は、怒鳴る・罵倒するなど直接的に攻撃してくるタイプです。
わかりやすい分、周囲も気づきやすく、対処もしやすい面があります。
受身型は、無視をする・陰口を言う・仕事を邪魔するなど間接的に攻撃してくるタイプです。
表面上は穏やかに見えることもあるため、問題が見えにくく対処が難しいという特徴があります。
どちらのタイプも、根底には「相手に負けたくない」「自分の立場を守りたい」という心理が隠れています。
攻撃的な言動は、相手との立場によって現れ方が異なります。
立場によって対処法も変わってくるため、まずは相手がどの立場からどのような攻撃をしてきているのかを冷静に把握することが大切です。
攻撃的な言動の裏には、必ず何らかの心理的な背景があります。
「なぜこの人はこんな態度をとるのか」を理解することが、適切な対処への第一歩になります。
攻撃的な人の多くは、強い劣等感やコンプレックスを内側に抱えています。自分の能力や立場に自信が持てないため、相手を攻撃することで「自分の方が上だ」と感じようとします。
一見すると自信満々に見える攻撃的な人も、実際には傷つきやすく繊細な面を持っていることが少なくありません。自分の弱さを認められないからこそ、周りの人を「敵」として捉え、先手を打って攻撃してしまうのです。
自分の内側としっかり向き合えていない人は、承認欲求を外側に向けやすくなります。「認めてほしい」「評価されたい」という気持ちが満たされないとストレスとなり、それが攻撃的な言動として周囲に向けられてしまいます。
また、怒りや不満などの感情をコントロールする力が弱いと、感情が爆発してそのまま攻撃になってしまうケースもあります。感情のコントロールは訓練によって改善できるものですが、本人にその意識がなければ変わることは難しいのが現実です。
幼少期や過去の職場での経験が、攻撃的な行動パターンとして現れることがあります。
たとえば、過去に強く支配されてきた経験を持つ人が、自分が力を持つ立場になったときに同じような
行動をとってしまうケースです。
また、過去に深く傷ついた体験があると、自分を守るために攻撃的な態度をとることが「習慣」になってしまっている場合もあります。本人も意識していないことが多く、心理的なサポートが必要なケースもあります。
攻撃的な言動の中には、自分を守るための行動として現れているものもあります。
「やられる前にやる」という心理から、先に相手を攻撃することで自分の安全を確保しようと
するのです。
このタイプは、実は強い不安感を抱えていることが多く、脅威を感じると過剰に反応してしまいます。
相手の言葉や態度を必要以上に「攻撃」と受け取り、防衛本能から攻撃的になってしまうのです。
攻撃的な人が職場にいると、その影響は当事者だけにとどまりません。
チーム全体、そして組織全体にまで広がっていきます。
攻撃的な言動が繰り返されると、職場全体の雰囲気が重くなります。
周囲の人は「次は自分がターゲットになるかもしれない」という緊張感を常に抱えることになり、
精神的なストレスが蓄積していきます。
コミュニケーションが委縮し、必要な情報共有がされなくなる、相談しにくい雰囲気が生まれるなど、チームとしての機能が低下していきます。
精神的なストレスは、集中力や判断力の低下を招きます。
ミスが増える、仕事への意欲が下がるなど、業務効率にも直接影響が出てきます。また、攻撃的な上司のもとでは、部下が萎縮して本来の能力を発揮できなくなるケースも多く見られます。結果として、チーム全体の評価や成果にも悪影響が及ぶことになります。
攻撃的な言動が継続・エスカレートすると、パワハラやハラスメントとして問題化するケースがあります。令和5年度 厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(2024年5月公表)によると、過去3年間にパワーハラスメントを経験した労働者の割合は19.3%にのぼり、他のハラスメントの中で最も高い割合となっています。これは決して他人事ではありません。
言葉による人格否定、業務上の不当な扱い、職場での孤立化などは、法的にも問題となりうる行為です。早期に適切な対処をとることが重要です。
攻撃的な人は、誰でも無差別に攻撃するわけではなく、ターゲットを選ぶ傾向があります。
狙われやすいのは次のような特徴を持つ人です。
心当たりがある方は、後述する対処法を参考にしながら、少しずつ自分を守る行動をとっていきましょう。
「この人はいつか変わるだろう」と期待して待ち続けることは、残念ながらあまり現実的ではありません。攻撃的な行動パターンは長年かけて形成されたものであり、本人に変わる意志と適切なサポートがなければ、自然に改善されることは少ないのが現実です。
ただし、本人が自分の言動を問題だと気づき、カウンセリングや専門的な支援を受けることで改善につながるケースもあります。周囲ができることは、変化を待つのではなく、自分自身を守ることを最優先にした行動をとることです。

攻撃的な人への対処で最も大切なのは、「相手を変えようとしない」ことです。変えられるのは自分の行動と反応だけです。ここでは具体的な対処法を紹介します。
攻撃的な言動を受けたとき、感情的に言い返したくなるのは自然なことです。しかし感情で反応してしまうと、相手はそれを「攻撃の燃料」として利用し、さらにエスカレートする可能性があります。
大切なのは「感情」ではなく「事実」で応じることです。「あなたが悪い」と言うのではなく、「この発言で業務に支障が出ています」と客観的に伝えるようにしましょう。どれほど理不尽でも相手の土俵に上がらず、冷静さを保つことが最も効果的な防御になります。
業務上必要なやりとり以外は、できるだけ関わりを減らすことが自分を守る基本です。相手の挑発に乗らず、必要最低限のコミュニケーションにとどめましょう。
「距離を置く=無視する」ではありません。挨拶などの最低限のやりとりは続けながら、深入りしないという姿勢を保つことが大切です。
攻撃的な人は、反撃してこない相手をターゲットにしやすい傾向があります。理不尽な言いがかりには、感情的にならず、しかし毅然とした態度で「その指摘は事実と異なります」と冷静に返すことが有効です。
萎縮した様子を見せると攻撃がエスカレートしやすいため、表情や声のトーンを落ち着かせて対応することを意識しましょう。
攻撃的な人への対処は、一人でおこなうよりも周囲の協力を得ながら進める方が効果的です。信頼できる同僚や先輩に状況を共有し、味方を増やしておきましょう。
あわせて重要なのが、攻撃的な言動の記録を残すことです。発言があった日時・内容・場所・その場にいた人物をメモとして残しておきましょう。やりとりをメールや文書で残すことも有効です。記録は感情的な訴えより客観的な事実として扱われるため、後々上司や人事に相談する際の証拠として大きな力を発揮します。
「なぜ自分だけ?」と感じるケースでは、まず相手が他の人にも同様の態度をとっていないかを観察してみましょう。自分だけがターゲットになっている場合は、相手があなたに何らかの脅威を感じている可能性があります。
この場合も、感情的に対応せず、記録を残しながら第三者に相談することが有効です。一人で解決しようとせず、早めに周囲のサポートを求めることをおすすめします。
立場によって対処のアプローチは異なります。
自分が「ここまでは受け入れられるが、これ以上は無理」という境界線を明確に持つことが、
攻撃的な人から自分を守る上で非常に重要です。
境界線がないと、相手の攻撃をすべて受け止めてしまい、精神的に消耗してしまいます。「業務上の指示には従うが、人格を否定する発言は受け入れない」という自分なりの線引きをしっかり持ちましょう。
対処法と同じくらい重要なのが「やってはいけない行動」を知ることです。
よかれと思った行動が、かえって状況を悪化させることがあります。
「やられたらやり返す」という対応は、状況をさらに悪化させるリスクがあります。感情的に言い返すと、相手に「この人も同じレベルだ」と思わせてしまい、泥沼化する可能性があります。
冷静さを保つことが、最も効果的な防御です。
攻撃を受け続けると「自分に問題があるのではないか」と思い込んでしまうことがあります。
しかし、攻撃する側に問題があることがほとんどです。自分を必要以上に責めることは、自己肯定感をさらに低下させ、状況への対処力を弱めてしまいます。
「相談して大げさだと思われたくない」「自分で解決しなければ」という気持ちから、一人で抱え込んでしまうケースは少なくありません。しかし、一人で抱え込むほど状況は悪化しやすくなります。
信頼できる人への相談を、早めにおこなうことが大切です。
「そのうち収まるだろう」と放置することも危険です。攻撃的な言動は放置すると習慣化・エスカレートしやすく、パワハラなどの深刻な問題に発展するリスクがあります。早期に対処することが、自分と職場全体を守ることにつながります。

対処法を試みても状況が改善しない場合や、攻撃が深刻な状況になっている場合は、外部のサポートを活用することが必要です。
以下のような状況が継続している場合は、パワハラとして対処することを検討しましょう。
厚生労働省はパワハラを「優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」と定義しています。自分の状況がこれに当てはまると感じたら、一人で判断せず専門機関に相談しましょう。
社内での相談は、まず直属の上司以外の信頼できる上司や、社内の相談窓口・人事部門に相談することから始めましょう。その際、記録しておいた日時・内容・証拠を持参すると、対応がスムーズになります。
相談する際は感情的にならず、「いつ・どこで・何をされたか」という事実を中心に伝えることが重要です。
社内での解決が難しい場合や、すでに深刻な被害を受けている場合は、外部の法的支援を活用することも選択肢の一つです。
労働基準監督署:労働条件や職場環境に関する相談
総合労働相談コーナー(各都道府県労働局):パワハラを含む職場トラブルの相談
弁護士:法的対応が必要なケースの相談
一人で抱え込まず、専門家の力を借りることをためらわないでください。
部下が攻撃的な言動をとっている場合、上司一人で対応しようとすると限界があります。人事部門を交えた面談の実施、行動記録の共有、必要に応じた配置転換の検討など、組織として対応する体制をつくることが重要です。
対処法を知っていても、毎日攻撃的な人と向き合い続けることは、心身に大きな負担をかけます。
「もう限界かもしれない」と感じたとき、それは心が助けを求めているサインです。

次のような症状が続いている場合は、心身のSOSと考えてください。
これらは、我慢の限界を超えているサインです。
自分の状態を客観的に見つめ、早めに行動することが大切です。
「具体的な解決策がなくても、誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になった」という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
自分の気持ちを言葉にして誰かに受け止めてもらうことは、それだけで心の負担を軽くする効果があります。信頼できる友人や家族でも構いません。まずは「話す」という一歩を踏み出してみてください。
「友人や家族には話しにくい」「もっと専門的なサポートを受けたい」という方には、カウンセリングという選択肢があります。
名古屋・岐阜各務原を拠点とするシャンティこころの相談室では、メンタルの不調から人間関係・仕事・婚活まで、幅広いお悩みに対応しています。職場の攻撃的な人への具体的な対処法を一緒に考えるだけでなく、傷ついた自己肯定感を回復させること、自分らしいコミュニケーションのあり方を見つけることなど、根本的な部分からサポートを受けることができます。
「こんなことで相談していいのかな」という心配は不要です。一人で抱え込まず、まず話してみることから始めてみてください。